guitarteleエレキとアコギの違い?初心者が初めるのはどちらからがいい?guitartele

エレキ・ギターとアコースティック・ギターはどんな違いがあるのでしょう?
初めてギターを練習をする時、どちらのギターを選ぶといいかな?
明確に弾きたいものが決まっていなかったり、こんな曲が弾きたいけど、実際どちらのギターで練習した方がいいのかな?そんな疑問に、ギター・スクールからの見解でお答えしてみたいと思います。

 

guitar2ギターの種類
まず、ギターには幾つかの種類があります。これは、張ってある弦によって2つの種類に大別できます。ナイロン弦の張ってあるクラシック・ギターを代表とす る仲間と、スチール弦の張ってあるアコースティック・ギターを代表する仲間です。クラシック・ギターの仲間には、フラメンコで使われるスパニッシュ・ギ ターや、サイズの小さいソプラノ・ギター等があります。スチール製弦のアコースティック・ギターの仲間には、エレキ・ギター、テナー・ギター、スチール・ ギター等の種類があり、大きさや演奏方法、音色、使用される音楽ジャンル等が様々です。では、ギター教室で取り上げられているエレキ・ギターとアコース ティック・ギターにはどのような違いがあるか、細部を見てみましょう。

 

エレキギター アコースティックギター
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▲一般的なエレキ・ギターです。 ▲横から見ると、薄さが解ります。 ▲一般的なアコースティック・ギターです。 ▲エレキに比べ厚みがあります。

 

guitar7エレキ・ギターとアコースティック・ギター、決定的な違いはココ
エレキ・ギターとアコースティック・ギターの違いは、音の共鳴のさせ方が物理的に違います。「弦の音をどのように大きく響かせるか」が、決定的な違いになります。この違いにより、ギターの形や大きさ、構造が変わり、最終的には演奏性まで影響してくると言うことになります。対比させると以下のようになります。

 

ギターの種類 音の響かせ方
アコースティック・ギター 弦の振動をギター本体、ボディーの空洞で共振、増幅させます。ギター単体で大きな音が鳴り、自然な弦の響きを得る事ができます。ギターの大きさや、素材、形によって音色や音量が異なります。
エレキ・ギター 弦の振動をピックアップと呼ばれるマイクで拾って、ケーブルを通してアンプで増幅させます。アンプを繋がないと本来の音は鳴らず、アンプで音量や音色のコントロールをすることができます。

 

guitarblow構造の違いがもたらす演奏性
アコースティック・ギターは、弦の振動が直接楽器の音になります。弦振動をより効率よく振動、増幅させるために、ある程度、弦に太さと張りの強さが必要に なります。弦が太い、張りが強いと、弦を押さえる力が強くないといけません。しっかり弦を捉えて、フレットに弦を確実に押さえつける左手の握力が必要にな るのです。また、張りの強さが強いと、それを支えるネック部分の強度が必要になります。そのため、アコースティック・ギターはネックに厚みや幅をもたせ、 強度を増している構造をしています。ネックは左手で握って弦を押さえる場所です。ネックの太さや厚みが演奏性に影響する事は、容易に想像できることと思い ます。
ボディーの大きさも、弾く人の体格によっては大きく影響します。アコースティック・ギターは懐に抱え込むようにして弾きます。大きなギターは、手を前に回 り込ませる事が出来ない場合もあります。米国生まれのギターは、米国人向けのサイズで作られているため、体の小さな日本人に優しい設計というわけにはいか ないようです。

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▲アコースティック・ギターのネック部分。実際に左手で弦を押える場所になり、太さや厚みが演奏性に大きく影響する

エレキ・ギターはピック・アップと呼ばれるマイクで弦振動を拾い、アンプで音を増幅させるため、ギター本体で弦振動を増幅させる必要はアコース ティック・ギター程ありません。逆にギター本体が振動をし過ぎると、効率よくピック・アップに弦振動の信号を送ることができなくなってしまいます。従っ て、アコースティック・ギターのように太い弦は張られていないのです。弦が太くないので、押さえる力も少なく済みます。弦の張力も小さく、その分 ネックを細く作ることができるため、押弦が非常にし易い設計になっています。ボディーも小さく薄くなり、ギター本体の大きさが演奏性に影響する事がなくな ります。

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▲エレキ・ギターのピック・アップ。ここで弦の振動を電気信号に変えています。

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▲エレキ・ギターのネック部分。アコギに比べて薄く、幅も狭く、弦を押さえ易い構造になっています。

 

guitar-125自宅練習と消音楽器について
日本の住宅事情は決して恵まれているものではないと思います。特に音に関しては、近隣に気を配って生活している事と思います。まして、楽器をガンガン鳴ら して練習するような事は夢のまた夢。そんな中で、楽器メーカーも工夫して、消音器や消音楽器を開発しているようです。ギターは、比較的小さい音の楽器では ありますが、それでも弾けばそれなりに大きな音が鳴ります。楽器は出来るだけ大きな音で、思い切り練習した方が上達は早くなるものです。そんな住宅事情の 中でギターを練習するにはどうしたら良いでしょう。

アコースティック・ギターの場合、ボディーに開いた穴(サウンドホール)から弦の音が反響して出てきます。この穴を塞ぐことで消音効果が得られま す。専用のサウンドホールカバーも売られていますが、ダンボールで自作してもいいでしょう。サウンドホールを塞ぐと、音の響きは少なくなり、せっかくのア コースティック・サウンドが得られないので残念です。しかも、多少音は小さくなりますが、まだまだ大きな音であることは変わらないでしょう。練習用の消音 ギターを購入すれば解決されますが、安価なものではありません。なかなか難しい問題ですね。

▲YAMAHA SLG110S サイレント・ギター

▲YAMAHA SLG110S サイレント・ギター

エレキ・ギターはどうでしょう。エレキ・ギターはアンプに繋がなければ、弦のペチペチした音しか鳴りません。アコースティック・ギターに比べると、 はるかに小さな音ですし、場合によてっては、テレビの音より小さくなるほどですので、自宅練習にはもってこいです。さらに、ヘッドフォンを繋げるヘッド フォンギターアンプも販売されています。これはとても安価で購入でき、音質もとても良いです。エレキ・ギター+ヘッドフォンアンプは、どんな楽器と比較し ても他の追従を許さないほど完璧な消音楽器と言えるでしょう。

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▲VOX Amplug AC30 G2ヘッドフォンギターアンプ

 

amp2魅力的なサウンド
アコースティック・ギターの音色は、ギター本体だけでほぼ完結されています。テクニックや弾き方で若干の違いを出すことはできますが、概ねギターの個体に音色は委ねられています。
エレキ・ギターとの大きな違いは、弦の振動が自然に増幅されていると言うこと。よりナチュラルな、まさにアコースティックな音を鳴らすことができます。自 然と響く弦は、厚みのある豊かな音で鳴ります。ギター1本でも、伴奏楽器として充分な性能を持っています。楽器として、1台で伴奏を完成させることができ るのは、ピアノとアコースティック・ギターだけです。純粋な弦の響きは、人の耳に優しく伝わり、演奏者の心の動きが、指の動きを通して伝わりやすくなりま す。ピアノと違い、弦を直接触っている事が、楽器の音色や表現力に繋がっていると言えるでしょう。

アコースティックギターは種類により音色が違う
ドレッド・ノート・タイプ oooタイプ
AG_D AG_ooo
▲弦振動を豊かに響かせる大きなボディーが特徴の形。コード・ストローク、アルペジオ等どんなプレイ・スタイルにも対応する。 ▲小柄なボディーが特徴。持ちやすく演奏性に優れているが、ストローク・プレイではパンチにかける。アルペジオ、独奏等で良く使われる。

エレキ・ギターの音色は、ギターとアンプによって作られます。エフェクターを繋いだりする事で、音色に色々な変化を付けることもできます。様々なア ンプやエフェクター、リプレイス用のピック・アップ等も売られており、組み合わせによって無限の広がりがあると言えます。エレキ・ギターの音色は、アコー スティック・ギターのような自然な弦の響きというより、電気的に作られた音色です。善し悪しの問題ではなく、アコースティック・ギターのような音はエレキ で鳴らすことはできず、アコースティック・ギターでエレキの音は鳴らすことが出来ないのです。
エレキ・ギターは演奏性に優れていることもあり、様々なテクニックを使って、フレーズに表現を付けることが出来るのも魅力の一つです。伴奏に限らず、メロ ディーを弾いたり、ソロを弾いたりすることも多いです。アコースティック・ギターの弦1本の音は小さいので、メロディーやソロをガツガツ弾くことは少ない ですが、エレキ・ギターは、ソロの時だけ音量を上げる事も簡単にできるので、積極的にギター・ソロが音楽の中に取り入れられています。

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▲エレキ・ギターと音色をコントロールするエフェクター。4つ並んだ一番右が、ボリュームをコントロールするペダル。奥に鎮座しているのがギター・アンプ。

 

guitar4どちらを選ぶ?
エレキ・ギターとアコースティック・ギターの具体的な違いは分かってもらえましたでしょうか。ギターにはそれぞれの個性があり、弾くフレーズや音楽ジャン ル、スタイル等に合わせて使い分けられています。では、初めてからギターを弾く場合、ズバリどちらのギターを選ぶといいでしょう。

ズバリと言えば、エレキ・ギターの方がお勧めできます。
まずは、弦の押さえ易さがあげられます。アコースティック・ギターは弦が固く押さえるのに力が必要なので、慣れないうちはまともに音を鳴らすこともできな いです 。それに比べエレキ・ギターは、アンプに繋げば直ぐに音を鳴らすことができます。弦を押さえることに慣れていても、アコースティック・ギターの弦を押さえ るのは、構えてしまうことがあるくらいです。慣れないうちは、余計に大変なことになるでしょう。
次に、家で練習がしやすいこともポイントです。エレキ・ギターはアンプを通さなければ、小さな音しか鳴りません。大きな音を鳴らしたい時はヘッドフォン・ ギター・アンプを使えば大丈夫です。アコースティック・ギターは消音処理をしても、かなり音が鳴りますので、住宅事情で問題がない方以外は、エレキの方が 普段の練習がしやすいと思います。

ギターを弾く上での基礎となる知識やテクニックは、エレキもアコギも同じ内容になります。それらの基礎テクニックに加え、エレキ・ギターには独特な サウンドを出すための様々なテクニックがあり、全てを習得するには時間がかかります。逆にアコースティック・ギターは、ひと通りの基礎をマスターすれば、 その先の殆どは基礎の延長で弾くことができます。これはどう言うことかと言うと、、、

ギターの種類 演奏難度
アコースティック・ギター 基礎テクニックをマスターすれば、ある程度弾ける。
エレキ・ギター 基礎テクニックをマスターした上で独特なエレキ・テクニックも練習する

 

これは、エレキ・ギターが弾けていれば、アコースティック・ギターもある程度弾けるということです。逆にアコースティック・ギターが弾けても、エレ キ・ギターを弾くことはできません。どちらのギターも、卓越した技術を身につけようとしたら一生かかりますし、どちらも同じくらい魅力的なサウンドを出す ことが出来るのも確かです。が、楽器を弾くと言う観点から見て、最初のひと山の頂上が低い位置にあるのは、アコースティック・ギターの方ではないでしょう か。

アコースティック・ギターを弾きながら歌うあのスタイルに強い憧れがある。
アコースティック・ギターの魅力的な音色でギターを弾きたい。
私自身もアコースティック・ギターは大好きな楽器です。ここでは、敢えてどちらかのギターで結論を出す為に話を進めて来ました。決してアコースティック・ ギターから始めてはいけないと言う事ではありません。音楽を奏でる上で、2種類のギターの違いに迷ったら、参考にして頂けたらと思います。